イスタンブールの新市街、タキシム広場からほど近いマチカ公園(Maçka Demokrasi Parkı)。私は木々の間を抜ける小径を歩いています。夕暮れ時、木立の向こうからボスポラス海峡が薄く輝いて見えています。 通勤の喧騒から少し離れて、ふと立ち止まったその時、一陣の風が木々の葉を揺らし、私の髪を撫でていきました。
「地球は私たち人間無しでも存続できますが、私たちは地球無しでは存続できません。先に消えるのは私たちなのです。」 ――アミーナ・モハメッド
日常を黄金に
風に吹かれながら、私はただ、木々の呼吸(いき)に耳を澄ませていました。 足の裏に感じる柔らかな土の感覚。私の肌に触れる風と、葉っぱを揺らす風は、きっと同じもの。私が吸い込む空気は、さっきまでこの木が吐き出していたものかもしれません。
そう思うと、不思議な感覚に包まれました。私の体の中に、この森の空気が入り込み、私の体の水分が、この土へと還っていくような。私の「私」という境界線がふわりと解けて、ただこの場所にある木や、土や、風と、一つに溶け合っていくような、心地よい体感。
この木たちは、私がいなくても、ずっとここで静かに呼吸を続けていくでしょう。でも、私はこの場所の空気や、水や、土の温もりがなければ、今こうして息をすることさえできません。
ただ、この大きな自然の胸に抱かれ、生かされているという、その透明で確かな感覚。 今日、あなたが日常の中で感じる小さな疲れも、この広大なおおらかさから見れば、愛おしい一瞬のきらめきに過ぎないかもしれませんね。



